詳しい事例別の法令・対処法は パワハラ事例別ガイド に整理しました。暴言、無視、過大要求、過小要求、個の侵害、退職強要まで確認できます。
解説パワハラ6類型——厚生労働省の定義
2022年4月から中小企業にも適用されたパワーハラスメント防止法(労働施策総合推進法)では、パワハラを「優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境を害するもの」と定義し、以下の6類型を示しています。
| 類型 | 内容 | 典型例 |
|---|---|---|
| ①身体的攻撃 | 暴行・傷害 | 殴る・蹴る・物を投げつける |
| ②精神的攻撃 | 脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言 | 大声での叱責・人格否定・「辞めろ」 |
| ③人間関係切り離し | 隔離・仲間外れ・無視 | 集団での無視・会議への不参加 |
| ④過大な要求 | 業務上明らかに不要・達成不可能な作業強制 | 月100時間超の残業・達成不能ノルマ |
| ⑤過小な要求 | 能力・経験に見合わない過少な業務命令 | 管理職に雑務のみ・仕事を一切与えない |
| ⑥個の侵害 | 私的なことへの過度な立ち入り | 私物の没収・プライベートへの詮索 |
⚠️ パワハラとモラハラの違い:パワハラは「職場内の優越的な立場を背景にした」ハラスメント(上司→部下が典型)。モラハラ(モラルハラスメント)はより広い概念で、同僚間・部下→上司・家庭内でも発生します。職場でのモラハラは多くの場合パワハラとも重複します。
事例パワハラ・モラハラ事例 55選——クリックで対処法・法的根拠を表示
パワハラ①身体的攻撃P-01
会議中に書類を投げつけられた
上司が部下の提出した報告書の内容に腹を立て、会議室で書類を丸めて顔に投げつけた。「こんなものが報告書か!」と怒鳴りながら。
物を投げる・殴る・蹴るなど身体に接触する行為またはその恐怖を与える行為はパワハラ6類型の『身体的な攻撃』に該当。暴行罪・傷害罪にも問われる可能性。
①スマホで録音・怪我は写真撮影、②上司の上司または人事部に書面で報告、③労基署・ハローワークへ相談、④繰り返される場合は弁護士へ相談
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)30条の2、刑法208条(暴行罪)、民法709条(不法行為)
パワハラ①身体的攻撃P-02
「もう一回やったら殴るぞ」と脅された
同じミスを繰り返した部下に対し、上司が机を拳で叩きながら「もう一回やったら本当に殴るぞ。わかってるよな?」と耳元で囁いた。
直接暴力を振るっていなくても、暴力をちらつかせた脅し・威圧は『身体的攻撃』のパワハラに該当する。恐怖政治による支配は刑法222条(脅迫罪)にも該当する可能性。
①発言の日時・場所・言葉を正確にメモ(日記として記録)、②信頼できる同僚に証人になってもらう、③社内ハラスメント相談窓口または労働局へ
労働施策総合推進法30条の2、刑法222条(脅迫罪)、安全配慮義務(労働契約法5条)
パワハラ①身体的攻撃P-03
頭を叩く・肩を強く叩くことが日常化
営業部長が、成績の悪い部下の頭を「何やってんだ!」と毎回叩く。本人は「昔からの指導方法」と悪びれず、周囲も止めない。
慣習・文化として行われていても暴行は違法。継続的な身体的接触は恐怖・精神的苦痛をもたらし、パワハラ・暴行罪の両方に該当。被害者が「慣れた」と感じていても権利侵害は継続している。
①毎回の日時・行為を記録、②写真・録音で証拠収集、③労基署に申告(刑事告訴も可能)、④精神的ダメージが大きい場合は心療内科へ
刑法208条(暴行罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
パワハラ②精神的攻撃P-04
「給料泥棒」「いてもいなくても同じ」と罵倒
ミスをした社員に対し、上司がフロア全員の前で「お前は給料泥棒だ!いてもいなくても一緒、むしろいない方がマシ!」と怒鳴り続けた。
人格を否定する言葉・侮辱は精神的攻撃型パワハラの典型。公開の場での罵倒は屈辱感を強め、精神疾患(うつ・適応障害)のリスクを高める。名誉毀損・侮辱罪にも該当する可能性。
①発言を録音(スマホのボイスメモ機能で十分)、②精神科・心療内科を受診し診断書取得、③都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」へ
労働施策総合推進法30条の2、刑法231条(侮辱罪)、刑法230条(名誉毀損罪)
パワハラ②精神的攻撃P-05
毎朝30分以上の「詰め」が日課
毎朝の朝礼後、上司が特定の部下だけを残して「なぜできないのか」「お前は向いていない」と30〜60分詰める。これが毎日続き、部下はうつ病を発症。
継続的・執拗な叱責は業務上の必要性を超えており精神的攻撃に該当。特定個人への集中的な攻撃は、労働者の就業環境を著しく害するパワハラ。うつ発症は労災認定の対象になりうる。
①録音で証拠収集(毎回必ず)、②医師の診断書を取得、③労災申請(精神疾患)を検討、④弁護士への相談で損害賠償請求も可能
労働施策総合推進法30条の2、労働者災害補償保険法(精神疾患の労災認定)、民法709条・715条
パワハラ②精神的攻撃P-06
「辞めてしまえ」「お前みたいな奴は要らない」
プロジェクトの遅延について議論中、部長が「だからお前みたいな無能は要らないんだよ!今すぐ辞めてしまえ!」と叫んだ。これが一度ではなく月数回繰り返される。
退職強要・脅迫的な言動はパワハラ。「辞めろ」と繰り返すことで労働者に退職の意思がないのに退職を迫ることは、強要罪に当たる可能性もある。
①「辞める意思はありません」と毎回明確に意思表示(退職を強要された場合は書面で拒否)、②録音して証拠化、③ユニオン・弁護士に相談
刑法223条(強要罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
パワハラ②精神的攻撃P-07
メールで全社員に向けてミスを晒し者にする
特定の社員がミスをすると、上司が「先日○○さんが○○というミスをしました。皆さんも気をつけるように」という内容のメールを全社員に送る。
個人のミスを全社員に公開することは、プライバシーの侵害かつ名誉毀損。業務上の必要性(注意喚起)があるとしても個人名を晒すことは相当性を欠くパワハラ行為。
①メールをスクリーンショットで保存・印刷して保管、②社内コンプライアンス部門または労働局へ申告、③名誉毀損として損害賠償請求を検討
刑法230条(名誉毀損罪)、個人情報保護法、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ②精神的攻撃P-08
私生活や容姿を繰り返し侮辱する
「その体型でよく外回りできるな」「どうせ週末も一人なんだろ」「彼女もできない人間が何を言っても」と、業務に無関係な私生活・外見への侮辱を繰り返す。
業務と関係のない私生活・容姿への侮辱は精神的攻撃パワハラの典型例。人格・属性への攻撃は精神的苦痛を与え、就業環境を害する。場合によってはセクハラとの複合事案になる。
①発言を正確に記録(日時・場所・言葉・状況)、②複数回にわたる証拠をまとめて労働局へ申告、③精神的被害が大きい場合は弁護士へ
労働施策総合推進法30条の2、刑法231条(侮辱罪)、民法709条
パワハラ③人間関係切り離しP-09
社員全員がいる場で自分だけ無視される
部署の朝礼・会議で上司が全員に挨拶・話しかけるが、特定の社員だけ完全にスルー。話しかけても返事をしない状態が3ヶ月続いている。
職場での孤立を意図的に作り出す行為は『人間関係からの切り離し』パワハラ。集団による無視は精神的なダメージが大きく、うつ・適応障害のリスクが高い。
①無視されている状況をメモ(日時・場所・誰が・どのような場面で)、②同僚に証言してもらえるか確認、③産業医・EAP(従業員支援)相談窓口へ
労働施策総合推進法30条の2、民法709条(不法行為)、安全配慮義務(労働契約法5条)
パワハラ③人間関係切り離しP-10
重要な会議や情報共有から常に外される
同じ業務チームなのに、特定の社員だけ会議の招集を受けない。メールのCCからも外され、業務に必要な情報が入ってこない状態。仕事ができない環境を意図的に作られている。
業務情報を意図的に遮断して仕事ができない状態を作ることは、隔離・切り離しパワハラ。これにより業績評価が下がれば不当な評価につながり、解雇への道筋を作る悪質な手法でもある。
①情報が届かなかった証拠(他の社員への送付ログ等)を収集、②上司の上司・人事に「業務上の情報共有をお願いしたい」と書面で要請、③改善がなければ労働局へ申告
労働施策総合推進法30条の2、労働基準法(均等待遇)
パワハラ③人間関係切り離しP-11
「あの人とは話すな」と部下に命令
上司が他の社員に「○○とは業務上最低限のやり取り以外するな。食事も一緒に行くな」と指示。対象社員は同僚全員から避けられる状態になった。
他の社員を動員して特定の人物を孤立させる行為は組織的ハラスメント。上司の命令でこれが行われる場合、会社の使用者責任も問われる。
①上司の発言を聞いた社員の証言を集める、②会社に対して「職場環境配慮義務違反」として申告、③弁護士に相談(会社への損害賠償請求が可能)
労働施策総合推進法30条の2、民法715条(使用者責任)、民法709条
パワハラ④過大要求P-12
一人でこなせない量の仕事を押し付けて残業させる
本来5人でやる業務を「効率化」の名目で1人に集中。毎月100時間超の残業が続き「できないなら向いてない」と言われる。断っても「プロとして当然だ」と却下される。
業務量が客観的に一人の能力・時間で処理できない場合の要求は過大要求パワハラ。過重労働による健康被害は労働安全衛生法違反。月100時間超の残業は過労死ラインに到達。
①残業時間を正確に記録(タイムカード・入退館記録を写真で保存)、②業務量が過大であることを上司に書面で報告・記録、③産業医・労基署へ相談
労働安全衛生法65条の3(過重労働対策)、労働施策総合推進法30条の2、労働基準法36条(時間外労働の上限)
パワハラ④過大要求P-13
「今日中に仕上げろ」と深夜・休日に大量の作業指示
金曜夜23時に「月曜朝までに50ページの資料を作れ」とLINEで連絡。断ると「プロとして当たり前」「それくらいできないのか」と責められる。週末を使って仕上げたが残業代は出ない。
休日・深夜の突発的な大量作業指示は過大要求パワハラ。さらに残業代不払いは労働基準法37条違反。LINEでの業務指示はタイムスタンプが証拠として有効。
①LINEのスクリーンショットを必ず保存、②残業時間を記録して未払い残業代を請求、③弁護士または労基署へ申告(過去3年間遡及可能)
労働基準法37条(時間外割増賃金)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
パワハラ④過大要求P-14
達成不可能なノルマを設定して未達を責め続ける
業界平均の3倍の売上目標を個人に設定。未達の度に「なぜできない」「お前の根性が足りない」と叱責。他の社員は同様のノルマを課されていない。
達成が客観的に不可能なノルマを特定個人にだけ課し、未達を理由に叱責し続けることは精神的攻撃と過大要求の複合パワハラ。不合理なノルマに基づく評価は不当評価にもなりうる。
①ノルマが業界標準と乖離していることを資料で示す、②他の社員との差異を記録、③労働局のあっせん制度を活用、④根拠のない低評価には異議申し立てを
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(権利の濫用禁止)
パワハラ④過大要求P-15
育休明けに突然困難プロジェクトに単独アサイン
育休明けの社員に対して、復帰初日から「キャリアアップのため」と称して、経験のない海外向けの大規模プロジェクトに単独でアサイン。育休前と全く異なる業務に、サポートなしで放置。
育休復帰者への過大要求は、育介法による不利益取り扱い禁止規定にも違反する可能性がある。能力・経験と不釣り合いな課題は過大要求パワハラに該当。
①育休取得との関連性を記録、②育介法に基づく不利益取り扱いとして厚労省の育児・介護相談ダイヤル(0120-279-440)へ、③産業医相談
育児・介護休業法10条(不利益取り扱い禁止)、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ⑤過小要求P-16
正社員なのに毎日ひたすらコピーだけをやらされる
問題提起をした後から、10年のキャリアがある正社員が毎日10時間コピー・書類整理・シュレッダーだけをやらされるようになった。本来の業務は全て他の人に回された。
能力・経験に比べて不当に低レベルの仕事のみを与えることは過小要求パワハラ。特に退職を促す目的で行われる場合は『追い出し部屋』として違法性が高い。
①業務内容の変化前後を記録、②「なぜこの業務なのか」を上司に書面で確認・返答を保存、③退職強要とみなして弁護士・ユニオンへ相談
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(権利の濫用)、民法709条
パワハラ⑤過小要求P-17
業務をすべて取り上げて「社内ニート」状態にする
降格や異動を拒否した後から、仕事を一切与えられなくなった。毎日デスクに座っているだけで、業務連絡も来ず、社内ニート状態に。精神的に追い詰められて自主退職を考え始めた。
仕事を与えないことで心理的苦痛を与え、自主退職に追い込む手法は退職強要の一形態。会社は労働者に就労機会を与える義務があるとする判例もある。
①仕事が与えられない状況を日記・メモで記録、②「業務を与えてください」と上司・人事に書面で申し入れ(返答を記録)、③ユニオン・弁護士に相談
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条、民法414条(履行請求権)
パワハラ⑥個の侵害P-18
スマホを没収・私的LINEを見ようとする
「業務に集中しろ」という名目で上司が個人のスマホを預けるよう強要。「LINEで他の人間と連絡取ってるんじゃないか」とパスワードを求めてくる。
個人の所有物の没収・プライベートな通信の閲覧強要は個の侵害パワハラ。財産権・通信の秘密・プライバシー権の侵害。業務目的があってもスマホ没収の正当な権限は会社にはない。
①「個人の所有物なので提出は断ります」と明確に拒否(記録)、②強要が続く場合は労基署または弁護士へ、③ハラスメント記録として日記に残す
日本国憲法21条(通信の秘密)、個人情報保護法、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ⑥個の侵害P-19
休日の過ごし方・交友関係を詮索・干渉する
「週末何やってたの?」「誰と?」「恋人はいるの?」と毎週月曜朝に執拗に質問。「チームのために休日もコミュニケーションを取ってほしい」と休日のグループ会食を強制参加させる。
私的な事柄への過度な詮索・休日の強制参加は個の侵害パワハラ。業務外の活動を強要することはプライバシーの侵害にもあたり、休日の自由を侵害する。
①「プライベートのことはお答えしかねます」と毅然と断る、②強制参加を拒否しても不利益にならないことを確認、③不利益があれば労働局へ申告
労働施策総合推進法30条の2、個人情報保護法、労働基準法35条(休日)
パワハラ⑥個の侵害P-20
病名・服薬情報を本人の同意なく社内に流す
メンタルヘルス不調で産業医に相談した内容が、なぜか上司・同僚に伝わっていた。「うつ薬飲んでるんだって?」と言われ、業務から外された。
産業医・人事が把握した健康情報を本人の同意なく漏洩することは、個人情報保護法違反・プライバシーの侵害。これにより不利益取り扱いをすることは個の侵害パワハラ。
①いつ誰から情報が漏れたかを調査記録、②個人情報保護委員会への申告を検討、③漏洩経路と被害を記録して会社に損害賠償請求
個人情報保護法(要配慮個人情報の取り扱い)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-01
「普通はそんなことしない」と常識を押し付ける
上司が「それって普通じゃないよね?」「社会人として常識がない」と繰り返し、具体的にどこが問題かを説明しない。被害者は何が問題なのか分からず自信を失っていく。
「普通」「常識」という抽象的な言葉で相手を否定し続けることは、根拠のない精神的支配。モラルハラスメントの典型で、被害者を徐々に追い詰める手法。被害者が「自分がおかしい」と思い込む状態になる。
①「具体的にどこが問題か教えてください」と書面で求める(返答を記録)、②漠然とした否定は証拠化しにくいため、できる限り発言を録音・メモ、③カウンセラー・産業医に相談
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-02
感謝・承認を一切せず、ミスだけを指摘する
上司は良い仕事をしても一切褒めず、小さなミスは見逃さず徹底的に指摘・記録する。「できて当たり前、できなければ問題」という姿勢で、社員のモチベーションが著しく低下。
意図的に承認を与えず自己評価を下げ続けることはモラハラの手法。良い成果に対して沈黙することで、被害者を「どうせ認められない」と無力感に追い込む。継続すると適応障害・うつ病を引き起こす。
①良い仕事の記録を自分で残す(自己評価の根拠を持つ)、②客観的な業績評価を求めて書面で申請、③産業医・カウンセラーに相談して自己肯定感を維持
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-03
ダブルバインド(どちらを選んでも責められる)
「なぜ報告しないんだ」と怒られるので報告すると「いちいち報告するな、自分で判断しろ」と怒られる。何をしても責められる矛盾した指示が続き、判断不能状態に。
どちらを選んでも批判される矛盾した要求を繰り返すことは、モラハラの典型的な手法。被害者を「どうせ何をしても間違い」という学習性無力感に追い込み、自律性を破壊する。
①矛盾した指示の両方を記録(日時・言葉・状況を正確に)、②「どちらが正しいか書面で指示してください」と求める、③一貫した指示が得られない場合は上位者・人事へ報告
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-04
話しかけてもため息・無視・冷たい対応のみ
上司が部下からの質問・相談に対して、ため息をついて無視するか「……」と黙って見つめるだけ。言葉ではなく態度で「お前は価値がない」を表現し続ける。
言語的な攻撃がなくても、態度による継続的な否定・侮辱はモラルハラスメント。非言語的な攻撃は証拠化が難しいが、証人・録音で記録できれば主張が可能。
①状況をできる限り録音(ため息・沈黙も記録)、②同席した同僚の証言を確保、③産業医・カウンセラーに相談して精神的ダメージを記録
労働施策総合推進法30条の2、民法709条(不法行為)
モラハラモラルハラスメントM-05
人前では親切・二人きりでは攻撃的
上司は同僚や他部署の人間がいる場では優しく接するが、二人きりになると豹変。「なぜこんなこともできないのか」「本当に頭が悪いな」と言い放つ。同僚には信じてもらえない。
二重人格的なハラスメントは被害者が孤立しやすく悪質度が高い。「あの人がそんなことをするはずがない」という周囲の誤解で被害者がさらに傷つく。録音証拠が特に重要。
①二人きりになるときは必ずスマホ録音、②「証拠があります」と伝えるだけでも抑止効果がある、③産業医・社外相談窓口に客観的に相談
労働施策総合推進法30条の2、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-06
「お前のせいで」と何でも部下のせいにする
プロジェクトが失敗すると「○○がちゃんとやっていないから」「お前が報告しないから問題になった」と部下のせいにする。自分の判断ミスも常に部下に責任転嫁。
不当な責任転嫁は被害者に過大な心理的負担を与えるモラハラ。特に評価制度に影響する場合は、不当な低評価・不当解雇につながる危険な行為。
①意思決定の記録(メール・議事録・チャット)を保存、②自分の判断ではなく上司の指示で動いた場合の証拠を残す、③客観的記録を基に人事・上位者に説明
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(公正な評価義務)
モラハラモラルハラスメントM-07
給湯室・廊下で悪口・陰口を言う
給湯室や廊下で他の社員に「あの人って本当に使えないよね」「なんであんな人を採用したんだろう」と聞こえるか聞こえないかの声量で悪口を言い続ける。
本人が聞こえることを意図した陰口は精神的苦痛を与える。聞こえない場所での悪口でも、それが広まって業務に支障をきたした場合は名誉毀損に当たる可能性がある。
①聞こえた内容・状況を記録、②周囲にも聞こえていた場合は証言を依頼、③録音が難しい場合でも日記記録を積み重ねる
刑法230条(名誉毀損罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-08
連絡を無断でCCからはずし、業務上の孤立を作る
上司が意図的に業務メールのCCから特定社員をはずし始めた。本人は情報が入らず業務が進められない。「知らなかったの?CC送ったけど」と言われるが、実際には送られていない。
業務に必要な情報を意図的に遮断することで仕事ができない状態を作ることは、人間関係切り離しパワハラとモラハラの複合。情報を知らせないことで業績を下げ、退職に追い込む手法。
①メールのヘッダー情報(送受信記録)をスクリーンショットで保存、②「情報が届いていません」と書面で上司・人事に申し入れ、③ログを証拠にして労働局へ
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-09
同僚の前で「あなたは信頼できない」と宣言
チームミーティングで上司が「みんなに言っておくけど、○○さんの言うことは信じなくていいから。判断力がないから」と宣言。その後チーム内での発言力が完全になくなった。
集団の前での信用失墜宣言は名誉毀損・侮辱にあたり、かつその後の業務上の立場を著しく害するため、パワハラとモラハラの複合事案として深刻度が高い。
①発言を録音・目撃した同僚の証言を記録、②名誉毀損として法的措置を検討(弁護士へ相談)、③精神的被害が大きければ労災認定を申請
刑法230条(名誉毀損罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条・715条
モラハラモラルハラスメントM-10
「こんなこともできないの?」を毎日繰り返す
新入社員に対して「え、これもできないの?」「普通これくらいできるよね」と毎日繰り返す。具体的な指導はせず、能力への否定だけを繰り返す。新入社員は適応障害を発症。
指導の名目であっても、具体的な改善方法を示さずに否定のみを繰り返すことは精神的攻撃パワハラ・モラハラ。新人への過度な否定は適応障害・うつ病を引き起こし、労災認定の対象になりうる。
①精神科・心療内科を受診して診断書を取得(適応障害・うつの場合は休職権利あり)、②職場での発言をスマホで録音、③傷病手当金の申請準備
労働施策総合推進法30条の2、労働者災害補償保険法(精神疾患の労災)、安全配慮義務
モラハラモラルハラスメントM-11
「女のくせに」「男なのに」と性別で能力を決める発言
女性社員が管理職への意欲を示すと「女のくせに上を目指してどうするの」「女は早く結婚して辞めるから育てても無駄」と発言。男性社員には「男なんだから泣くな」「男のくせに残業できないのか」。
性別を理由とした役割強制・能力決めつけはセクシャルハラスメントまたはジェンダーハラスメントに該当。男女雇用機会均等法違反にも当たり、損害賠償・企業名公表の対象になりうる。
①発言を録音・書き留め、②都道府県労働局(雇用環境・均等部)への申告(均等法に基づく相談)、③法テラスで弁護士相談(損害賠償請求を検討)
男女雇用機会均等法(セクハラ・マタハラ防止)、労働施策総合推進法30条の2
モラハラモラルハラスメントM-12
提案・意見を常に遮断・否定する
会議で意見を言おうとすると「また○○さんが余計なことを言おうとしている」と遮られる。発言できても「はいはい、でもそれ意味ないから」と即却下。何度も続き、発言する気力がなくなった。
意見・提案を継続的に遮断・否定することで自己効力感を破壊するモラハラ。組織の心理的安全性を著しく損ない、チーム全体のパフォーマンスも低下させる。
①会議の録音・議事録への記録を積み重ねる、②書面(メール)で意見・提案を提出して記録を残す、③組織全体の問題として人事・コンプライアンス部門へ報告
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-13
「お前には向いていない、転職した方がいい」を繰り返す
上司が折に触れて「正直お前この仕事向いてないよ。他の仕事探した方が幸せじゃない?」と退職を示唆する発言を繰り返す。業務改善策は提示せず、辞めることだけをほのめかす。
本人の意思に反して退職を繰り返し示唆・誘導することは退職強要の一形態であり、モラハラ。強要罪に問われる可能性もある。
①「退職の意思はありません」と明確に意思表示し記録、②発言を録音、③強迫的な退職誘導は弁護士に相談(慰謝料請求の根拠になりうる)
刑法223条(強要罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-14
深夜・休日に大量のLINEを送り続ける
上司が深夜1時・休日の朝7時に業務LINEを送り、既読がつくとすぐ「見てる?返事して」と催促。返信しないと翌日「なぜ無視した」と叱責される。プライベートの時間が完全に侵食される。
深夜・休日の連続的な連絡強要はプライバシー侵害・個の侵害パワハラ。労働者には休日・休暇を自由に過ごす権利があり、休日の対応義務はない(原則として)。
①LINEのスクリーンショット・送信時刻を保存、②「休日の対応は労働契約にありません」と明確に返答、③会社として対応ルールを文書化するよう人事へ申し入れ
労働基準法35条(休日)、労働施策総合推進法30条の2、個人情報・プライバシー権
モラハラモラルハラスメントM-15
育休申請後に「裏切り者」扱いされる
男性社員が育休取得を上司に相談すると「この大事な時期に何を言っているんだ」「チームへの裏切りだろ」「キャリアが終わると思え」と言われ、育休取得を事実上阻止される。
育休申請を妨害・不利益言動を伴う圧力はパタニティハラスメント(パタハラ)。育介法10条違反で厚生労働省への申告対象。男性育休取得率向上が国の方針の中、特に悪質とみなされる。
①発言を録音・記録、②育休は権利であるため「申請します」と書面で意思表示、③都道府県労働局(雇用環境・均等部)または育児・介護休業法の相談窓口へ
育児・介護休業法10条(不利益取り扱い禁止)、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ②精神的攻撃P-22
ミスを何年も蒸し返して責め続ける
3年前に一度起こしたミスを、何かあるたびに「あのとき○○したじゃないか」と持ち出して責める。過去の失敗を永遠に清算させない態度で、精神的に追い詰められている。
時効のない批判・過去の蒸し返しは精神的攻撃パワハラ。業務上の注意の範囲を超え、相手を苦しめることを目的とした継続的な攻撃。
①発言の都度記録(日時・内容)、②「当該ミスは既に対処済みです」と書面で確認を求める、③繰り返す場合は精神的攻撃として労働局へ
労働施策総合推進法30条の2、民法709条
パワハラ②精神的攻撃P-23
「訴えてみろ、どうせ負ける」と開き直る
ハラスメントを指摘すると「証拠でもあるの?訴えてみればいい、弁護士費用で負けるから」「会社が味方するのは俺だ」と開き直り、被害者が諦めることを見越した発言をする。
被害申告を抑圧する恫喝はパワハラの報復行為にあたる。申告したことを理由とした不利益取り扱いも違法(労働施策総合推進法30条の4)。証拠があれば勝訴可能なケースが多い。
①この発言自体も録音・記録(二次ハラスメントの証拠)、②労働局・弁護士に相談(費用は法テラスで立替可能)、③申告への報復は厳しく問われることを伝える
労働施策総合推進法30条の4(報復行為禁止)、民法709条、刑法222条(脅迫罪)
パワハラ④過大要求P-24
有給申請のたびに理由を根掘り葉掘り聞く
有給休暇の申請をすると「なんで?どこ行くの?誰と?」と根掘り葉掘り聞く。プライベートな理由だと「それ本当に必要?」と圧力をかけ、申請しにくい雰囲気を作る。
有給休暇の理由を聞くこと自体は違法ではないが、回答を強要したり取得を妨げる態度は有給取得権の侵害。使用者は「時季変更権」以外で有給を拒否できない(労基法39条)。
①「私用のため」とだけ答えれば十分(理由の詳細説明義務なし)、②申請書を書面で提出して記録保存、③圧力で取得できない場合は労基署へ申告
労働基準法39条(年次有給休暇)、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ①身体的攻撃P-25
肩を鷲掴みにして壁に押し込む
遅刻をした部下に対し、上司が肩を鷲掴みにして壁に押しつけながら「なめてんの?もう一度遅刻したら本当に許さないから」と耳元で囁いた。
身体的接触を伴う恫喝は暴行罪・強要罪の両方に該当しうる重大な犯罪行為。パワハラの中でも最も刑事的責任が問われやすいケース。
①身体的接触の事実を記録(怪我があれば写真・診断書)、②警察への被害届提出を検討、③弁護士に相談して刑事・民事の両面から対処
刑法208条(暴行罪)、刑法222条(脅迫罪)、刑法223条(強要罪)、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ③人間関係切り離しP-26
育休復帰後に別室・孤立した席に配置
育休から復帰した女性社員を、チームから物理的に離れた別室の一人席に配置。「業務調整中」という名目だが、半年経っても業務を与えられず孤立した状態が続く。
育休復帰後の孤立配置は育介法上の不利益取り扱い禁止に該当する可能性が高い。マタニティハラスメント(マタハラ)の典型例。
①育休取得との関連性を記録、②都道府県労働局(雇用環境・均等部)に申告、③マタハラとしての損害賠償請求を弁護士へ相談
育児・介護休業法10条(不利益取り扱い禁止)、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ⑤過小要求P-27
管理職を降格させてトイレ掃除のみを命じる
会社の方針に異議を唱えた部長を突然降格し、「清掃担当」として毎日トイレ・フロア清掃のみを命令。同期・部下が管理職として活躍する中、一人だけ清掃業務に従事させる。
能力・経験に著しく見合わない業務命令は過小要求パワハラ。特に降格・配置転換が制裁・見せしめを目的とする場合は、権利濫用として無効になりうる。
①降格・業務変更の書面交付を求める(理由・根拠を明示させる)、②労働組合または弁護士に相談、③不当降格として地位確認訴訟を提起することも可能
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(権利の濫用)、就業規則(降格規定の合理性)
パワハラ⑥個の侵害P-28
カメラで特定社員の行動を24時間監視
「仕事ぶりを確認したい」という名目で、特定の社員のデスクにだけWebカメラを設置して常時録画。画面の操作まで監視し、トイレに行くたびに「どこ行ってたの?」と聞かれる。
特定個人の行動を過度に監視することはプライバシーの侵害・個の侵害パワハラ。業務上の必要性があっても、特定個人を狙い撃ちにした過剰な監視は違法性が高い。
①カメラの設置を証拠として記録(写真)、②「監視の法的根拠を示してください」と書面で求める、③プライバシー権侵害として弁護士・個人情報保護委員会へ
日本国憲法13条(プライバシー権)、個人情報保護法、労働施策総合推進法30条の2
パワハラ②精神的攻撃P-29
電話で長時間・深夜に怒鳴り続ける
終業後の夜10時に上司から電話が来て、1時間以上にわたって怒鳴り続けられる。電話を切ろうとすると「なぜ切る、謝るまで終わらない」と続ける。
終業後の長時間怒鳴り電話は精神的攻撃パワハラ。電話を強制的に継続させることは強要罪に該当する可能性もある。録音して証拠化することが最重要。
①通話を録音(両面録音アプリを使用)、②通話記録(発信履歴)のスクリーンショットを保存、③繰り返す場合は弁護士に相談してハラスメント申告
刑法223条(強要罪)、労働施策総合推進法30条の2、民法709条
パワハラ②精神的攻撃P-30
「お前を潰す」「絶対に追い出してやる」と宣言
部下が労基署に申告したことを知った上司が「覚えとけよ。絶対にお前を潰してやる。居場所がなくなるようにしてやる」と宣言した。
労基署等への申告に対する報復・脅迫は労働施策総合推進法30条の4が明示的に禁止する行為。刑法上の脅迫罪・強要罪にも該当する可能性が高い重大事案。
①この発言を優先的に録音・記録(最重要証拠)、②労基署・労働局に報復行為として追加申告、③弁護士に相談して刑事告訴・民事訴訟を検討
労働施策総合推進法30条の4(申告を理由とする不利益取り扱い禁止)、刑法222条(脅迫罪)、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-16
評価面談で「あなたには期待していない」と宣言
年次評価面談で上司が「正直、あなたに期待することはない。最低限やってもらえればいい」と言い放つ。改善点・目標設定はなく、ただ否定だけ。翌年も同じ評価面談が繰り返される。
評価面談での根拠のない否定・意欲破壊発言はモラハラ。適切な目標設定・フィードバックなしに能力を否定することは指導の名目を超えた精神的攻撃。
①面談内容をメモ・録音、②「改善目標を具体的に示してください」と書面で要求、③客観的な評価根拠の開示を人事に求める
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(公正な評価)
モラハラモラルハラスメントM-17
チャットで無視・スタンプ返しのみが続く
業務上の質問をSlack・LINEで送っても、既読スルーかスタンプのみの返信が続く。他の社員には普通に丁寧に返信しているのに、自分だけ無視されている状態が3ヶ月続く。
業務上の連絡を意図的に無視することは、業務の遂行を妨げかつ精神的苦痛を与えるモラハラ。特定個人だけを差別的に扱っている点で悪質。
①チャット画面のスクリーンショットを保存(他の社員への返信との差を記録)、②「業務上の質問に回答してください」と書面(メール)で送付、③改善がなければ上位者・人事へ
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-18
「あなたがいるとチームの空気が悪くなる」と言う
上司から「はっきり言って、あなたがいるとチームの雰囲気が悪くなる」「チームメンバーがあなたのことを嫌がっている」と伝えられる。具体的な理由・根拠は示されない。
根拠のない排除発言はモラハラ・パワハラの複合事案。「チームが嫌がっている」という発言が虚偽の場合は名誉毀損にも当たる。自主退職を促す意図がある場合は退職強要。
①「具体的にどのような問題があるか書面で教えてください」と求める、②チームメンバーに本当にそう言っているか確認できれば証言を取る、③弁護士・労働局に相談
労働施策総合推進法30条の2、刑法230条(名誉毀損)、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-19
頑張りを全て「当たり前」として無効化する
残業してプロジェクトを完成させても「それ普通だよね」、資格を取っても「それくらい当然」、成果を出しても「ようやくまともになったね」と全ての頑張りを「当然」として扱う。
成果・努力を継続的に否定・無効化することで自己効力感を破壊するモラハラ。燃え尽き症候群(バーンアウト)・うつ病の原因になりやすく、精神健康への重大な影響がある。
①成果・努力の記録を自分で残す(自己評価の根拠として)、②360度評価など客観的評価制度の導入を提案、③精神的ダメージが大きければ産業医へ相談
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-20
「どうせ無理」「また失敗するでしょ」と先入観で決めつける
新しいプロジェクトを任せてほしいと申し出ると「あなたには無理」「どうせまた失敗する」と挑戦機会を与えない。実際にチャンスも経験もないため、本当に成長できない環境を作られている。
根拠のない能力否定でキャリア形成を妨げることはモラハラ。特に挑戦機会を組織的に奪い続けることは、キャリア権の侵害として法的に問題になりうる。
①「何を根拠に判断しているか書面で教えてください」と求める、②機会提供の拒否を記録、③社内異動申請や外部転職を選択肢に入れてキャリアを自分でコントロール
労働施策総合推進法30条の2、労働契約法3条(就業機会の均等)
モラハラモラルハラスメントM-21
「なぜできないのか200字で書いて提出しろ」の繰り返し
ミスのたびに「反省文を書け」と指示。書いて提出すると「これじゃ足りない、もっと書け」と何度も書き直しを命じ、最終的に何十枚もの反省文を書かされる。
反省文の提出自体は業務指導の一形態だが、それを繰り返し・大量に書かせることは精神的攻撃パワハラ。業務改善に繋がらない反省文の繰り返しは懲罰的で違法性が高い。
①反省文の提出記録を保存(何枚・いつ・内容)、②「改善策の具体的な指導をお願いします」と書面で申し入れ、③繰り返す場合は労働局へ申告
労働施策総合推進法30条の2、民法709条(精神的損害)
モラハラモラルハラスメントM-22
家族・出身地を侮辱する
「○○県出身って要領が悪いよな」「親の教育がなってないからそうなるんだよ」と出身地・家族を侮辱する発言を繰り返す。本人の能力・努力と無関係な属性への攻撃。
出身地・家族への侮辱は業務と全く無関係の人格侵害。侮辱罪・名誉毀損の可能性があり、出身地差別は合理的理由のない差別的取り扱いとして法的に問題がある。
①発言を正確に記録・録音、②侮辱罪・名誉毀損として弁護士に相談、③都道府県労働局またはハローワークへ申告
刑法231条(侮辱罪)、刑法230条(名誉毀損罪)、労働施策総合推進法30条の2
モラハラモラルハラスメントM-23
「お前に払う給料が無駄」と繰り返し言う
「正直、お前に払っている給料分の仕事をしていない」「お前の給料で3人アルバイトが雇える」と繰り返し言われる。具体的な改善策の提示はなく、侮辱のみが続く。
給料・経済的価値への執拗な侮辱は精神的攻撃パワハラ・モラハラ。人格を経済的価値で計る発言は尊厳を著しく傷つける。
①録音で証拠化、②「業績評価の具体的基準を書面で教えてください」と申し入れ、③侮辱の証拠をもとに労働局・弁護士へ
労働施策総合推進法30条の2、刑法231条(侮辱罪)、民法709条
モラハラモラルハラスメントM-24
相談するたびに「それくらい自分で考えろ」と突き放す
業務上の判断に迷って上司に相談すると「そんなことも自分で判断できないのか」「毎回来るな」と突き放す。しかし自分で判断して進めると「なぜ報告しないのか」と叱責される。
相談を拒絶しながら独自判断も責めるダブルバインドはモラハラ。適切な指導を放棄しながら批判だけを繰り返すことは、管理職としての義務の不履行かつハラスメント。
①業務判断の都度、経緯をメールで記録して送る(対応履歴を作る)、②「どのような場合に相談すればよいか書面で教えてください」と申し入れ
労働施策総合推進法30条の2、安全配慮義務(労働契約法5条)
モラハラモラルハラスメントM-25
「お前は何をやってもどうせダメ」という烙印を押す
「○○さんはなにやっても結局ダメだから」と複数の社員の前で烙印を押す。その後から同僚も「○○さんはダメな人」という扱いをし始め、職場全体で無能ラベルを貼られた状態になる。
集団的な烙印付けは名誉毀損・侮辱罪に該当しうる。上司の発言が周囲の態度を変えた場合、上司の責任は特に重い。集団的ハラスメントへ発展した場合は会社の使用者責任も問われる。
①烙印発言を録音・同僚の証言を記録、②名誉毀損として法的措置を検討(弁護士へ相談)、③精神的被害が大きければ休職→労災申請を検討
刑法230条(名誉毀損罪)、刑法231条(侮辱罪)、民法715条(使用者責任)
モラハラモラルハラスメントM-26
「黙って従え、それが社会人だ」と思考停止を強要
疑問や改善提案を伝えると「黙って従えばいいんだ、それが社会人というものだ」「文句があるなら辞めろ」と思考・発言を禁止する。意見を持つこと自体を否定される環境。
正当な意見・疑問の提示を抑圧することは、労働者の人格権の侵害。服従の強要はモラハラ・パワハラ。さらに「辞めろ」という発言は退職強要にもつながる。
①意見・提案はメール等の書面で提出(返答を記録)、②「辞めろ」という発言を録音、③思想・発言の自由侵害として弁護士・労働局に相談
日本国憲法19条(思想・良心の自由)、刑法223条(強要罪)、労働施策総合推進法30条の2
対処法ハラスメント被害に遭ったときの5ステップ
1
📝 記録する——証拠が命
日時・場所・発言内容・状況・目撃者を毎回メモする。スマホのボイスメモで録音(合法)。タイムカード・メール・チャットのスクリーンショットを個人のクラウドにバックアップ。
2
🏥 医療機関を受診する
精神的ダメージが大きい場合は精神科・心療内科を受診して診断書を取得。「職場でのストレスが原因」と医師に伝えること。診断書は労災申請・損害賠償請求の根拠になる。
3
🏛️ 社内窓口に申告する
社内のハラスメント相談窓口・人事部・コンプライアンス部門に書面で申告。口頭ではなく書面で提出し、受付証を受け取ること。申告した事実が証拠になる。
4
⚖️ 外部機関に相談する
社内で解決しない場合は、都道府県労働局(総合労働相談コーナー)・ハローワーク・法テラス・NPO・弁護士へ。費用は法テラスで立替可能。相談は無料から対応可能。
5
🚨 状況に応じて法的措置を取る
労働審判(3回の審理で解決・弁護士費用比較的低い)・民事訴訟(慰謝料・損害賠償)・刑事告訴(暴行・名誉毀損等)の選択肢がある。まず弁護士に相談して最適な手段を選択。
🚨 申告への報復は厳禁:ハラスメントを申告したことを理由とした不利益取り扱い(降格・解雇・孤立化等)は労働施策総合推進法30条の4で明示的に禁止されています。報復行為があればそれ自体を追加証拠として申告できます。
相談窓口ハラスメント相談窓口——無料・匿名可
総合労働相談コーナー(厚生労働省)
全国のハローワーク等に設置。パワハラ・残業・解雇など労働問題全般を無料・予約不要で相談できる。専門家が対応。
📞 総合労働相談コーナーは全国379箇所 / 窓口一覧
法テラス(日本司法支援センター)
弁護士費用の立替制度あり。収入要件を満たせば弁護士費用を分割返済可能。無料法律相談も実施。
📞 0570-078374(平日9〜21時、土9〜17時)
NPO法人POSSE(ポッセ)
労働問題専門のNPO。パワハラ・未払い残業代・解雇など、年間2,000件以上の相談を無料で対応。特に若者の労働問題に強い。
📞 03-6699-9359(平日・土日:13〜22時)/ 公式サイト
総合サポートユニオン
個人でも加入できる労働組合。パワハラ・未払い給与・解雇について、会社への団体交渉を代行。弁護士より費用が安く、即時対応可能。
📞 0120-333-774(毎日17〜21時) / 公式サイト
労働基準監督署
労働基準法違反(残業代・有給・安全衛生)の申告窓口。違反が認められれば会社への是正勧告・立入調査が可能。匿名申告もできる。
📞 0120-811-610(こころの健康相談統一ダイヤル) / 全国労基署一覧
こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省)
ハラスメントによるメンタル不調・うつ・適応障害の相談。公認心理師・精神保健福祉士が対応。精神科受診につないでもらえる。
📞 0570-064-556(時間は都道府県によって異なる)
Q&Aよくある質問
録音は証拠として使えますか?▼
はい。自分が参加している会話の録音は合法です(通話・対面どちらも)。第三者の会話を本人の同意なく録音することは違法ですが、自分が当事者として聞いている場合は問題ありません。録音データはMP3・WAV形式でバックアップし、メタデータ(録音日時)を保持してください。
証拠がなくてもハラスメントを申告できますか?▼
できますが、証拠があるほど認定される可能性が高まります。証拠がない場合でも、①詳細な日記(日時・発言・状況)、②同僚の証言、③医師の診断書(精神的ダメージの証明)を組み合わせることで申告の根拠を作れます。まず相談窓口に相談すると、必要な証拠の集め方をアドバイスしてもらえます。
相談したことが会社にバレますか?▼
労働局・法テラス・NPOへの相談は原則として匿名で行えます。労基署への申告も「申告者の秘密を守る」義務があります。ただし社内窓口への申告は会社に知られます。外部機関を使って会社に知られずに相談・調査することも可能です。
パワハラで慰謝料はもらえますか?▼
はい。パワハラによる精神的苦痛・治療費・休職による収入損失を損害として、行為者個人と会社(使用者責任・安全配慮義務違反)に対して損害賠償請求できます。慰謝料の相場は事案の重さにより数十万〜数百万円程度ですが、精神疾患・自殺未遂等の重大事案ではさらに高額になる場合があります。
会社がハラスメントを認めない場合はどうすればいいですか?▼
都道府県労働局の「紛争解決援助制度(あっせん)」または「労働審判」を利用できます。あっせんは無料・短期間で解決できる可能性があり、弁護士なしでも申請できます。労働審判は弁護士費用がかかりますが、3回以内の審理で解決することが多く、裁判より迅速です。
退職後もパワハラの損害賠償を請求できますか?▼
はい。不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間(2020年4月以降の事案)請求できます。退職後も時効内であれば請求可能です。証拠の収集が難しくなるため、退職前に可能な限り証拠を保全しておくことを推奨します。
モラハラはパワハラと認定されますか?▼
職場での上司による精神的なモラハラは、パワハラ防止法の「②精神的な攻撃」「③人間関係からの切り離し」等に該当することが多く、パワハラとして認定されるケースが大半です。同僚間・部下から上司へのモラハラも「優越的な関係」があれば認定対象になります。
精神的なダメージで仕事を休めますか?▼
はい。医師から「休養が必要」と診断された場合、傷病手当金(給与の約2/3・最長1年6ヶ月)を受給しながら休職できます。ハラスメントが原因の精神疾患(うつ・適応障害)は、条件を満たせば労災認定(休業補償4日目から給与の約80%)の対象にもなります。詳しくはメンタルヘルスページをご覧ください。
ハラスメントの加害者も罰せられますか?▼
民事(損害賠償)・刑事(暴行・名誉毀損・侮辱・脅迫等)の両面から責任を問えます。2022年の侮辱罪の厳罰化(最大1年以下の懲役または30万円以下の罰金)により、刑事的責任を問いやすくなっています。会社も「安全配慮義務違反」「使用者責任」で連帯して損害賠償責任を負います。
「指導」と「パワハラ」の違いは何ですか?▼
厚労省のガイドラインでは「業務上の適正な範囲内」か否かが判断基準です。①業務改善に必要な内容か、②一時的・限定的か継続的・執拗か、③公開の場か個室か、④人格攻撃を含むか、⑤行為者の感情的反応か冷静な指導か——を総合的に判断します。「叱る」「注意する」は指導として認められますが、人格を否定する言葉・継続的な侮辱は指導の範囲を超えパワハラになります。
証拠化へ:ハラスメント55選で該当するものがあれば、録音・5W1Hメモ・診断書の残し方へ進んでください。限界なら 01 ESCAPE へ。