① 60〜64歳で退職した場合——通常の失業給付(基本手当)
60歳以上65歳未満で退職した場合は、通常の雇用保険(基本手当)の対象になります。定年退職は「会社都合」に準じた扱いのため、給付制限なしで待期7日後から受給できます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 受給条件 | 離職前2年間に雇用保険被保険者期間が通算1年以上 |
| 給付制限 | なし(定年退職は給付制限の対象外) |
| 待期期間 | 7日間のみ |
| 給付日数 | 被保険者期間・年齢により90〜150日(特定受給の場合は最大240日) |
| 基本手当日額 | 退職前6ヶ月の賃金の50〜80%(年齢により上限あり・60〜64歳の上限は8,635円/日:2025年8月〜) |
| 年金との関係 | 基本手当受給中は老齢厚生年金が全額支給停止(重複受給不可) |
| 手続き場所 | ハローワーク(離職票持参・退職翌日から申請可) |
60〜64歳で特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給している場合、基本手当の受給中は年金が全額停止されます。どちらが有利かは金額による——ハローワークまたは年金事務所でシミュレーションすることを推奨します。
② 65歳以上で退職した場合——高年齢求職者給付金
65歳以上で離職した場合は、通常の失業給付ではなく「高年齢求職者給付金」が適用されます。一括支給・年金との併給可など、通常と大きく異なります。
被保険者期間1年以上:50日分
・一括支給(分割ではなく一度に全額)
・老齢年金と同時受給OK
・受給期限:離職日翌日から1年以内
・定年退職は給付制限なし(待期7日のみ)
※2030年3月末で廃止予定
・60歳時点賃金の75%未満に低下した場合
・雇用保険5年以上加入が条件
・60〜65歳未満の間、毎月支給
・年金との調整あり(一部停止)
(マルチジョブホルダー制度)
・65歳以上で2社に週20時間以上ずつ勤務
・合計週20時間以上で雇用保険加入可能
・本人申請でハローワークに加入申込み
・退職後は高年齢求職者給付金を受給可
・基本手当を100日以上受給して再就職
・再就職後の賃金が60歳時点の75%未満
・残日数200日以上→2年間支給
・残日数100〜200日→1年間支給
・再就職手当との選択制(どちらかのみ)
③ 定年後の雇用保険 申請手順
退職後10日〜2週間で離職票が届く
会社から「雇用保険被保険者離職票(1・2)」が届く。届かない場合は会社または年金事務所・ハローワークに問い合わせ。
ハローワークで求職申込み・受給資格の確認
持参物:離職票・雇用保険被保険者証・写真2枚(65歳以上は1枚)・マイナンバー確認書類・本人確認書類・通帳。
65歳以上の場合:「高年齢求職者給付金の申請」と明示して手続き。
待期期間7日間(定年退職は給付制限なし)
定年退職・会社都合は給付制限がなく、待期7日後から給付対象になる。自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限あり。
【65歳以上】認定日に失業認定→一括支給
高年齢求職者給付金は、失業認定後に30日分または50日分が一括で振込される。通常の失業給付のような4週間ごとの認定は不要。
【60〜64歳】認定日ごとに失業認定→分割支給
通常の失業給付と同様に4週間ごとの認定日に出頭して認定を受ける。求職活動実績(2回以上)が必要。年金との調整を事前に年金事務所で確認しておく。
受給期限に注意——離職から1年以内
高年齢求職者給付金の受給期限は離職日の翌日から1年以内。手続きが遅れると受給できる金額が減る。退職後はなるべく早くハローワークへ。
①60〜64歳退職:通常の失業給付(基本手当)・年金停止あり・最大240日
②65歳以上退職:高年齢求職者給付金・年金と併給OK・一括30or50日分
③継続雇用で賃金低下:高年齢雇用継続給付金(最大10%・2030年廃止予定)
④再就職後:高年齢再就職給付金 or 再就職手当(どちらか有利な方を選択)
前提データ:総務省「家計調査(2024年)」より、65歳以上単身無職世帯の月平均支出は約16.2万円、夫婦世帯は約28万円。年金(国民年金6.9万円・厚生年金平均14.7万円)を差し引いた不足額を貯金で補う必要があります。以下では単身・厚生年金受給者を標準モデルとして試算しています。
500万円÷2万円=250ヶ月(約21年)で枯渇(81歳)。平均寿命を考えると今すぐ対策が必要。
- 再雇用・嘱託社員:前職の会社に65歳まで継続雇用(高年齢者雇用安定法で企業は努力義務)。月15〜20万円の収入を確保
- 警備員・清掃・施設管理:体力的に続けやすく、60〜70代でも採用されやすい。月12〜18万円
- スーパー・コンビニ・ドラッグストア:週4〜5日・時給950〜1,200円。月10〜15万円
- 介護補助・施設スタッフ:人手不足で60代も歓迎。資格なしでも可。月13〜18万円
- シルバー人材センター:自治体の高齢者就業支援。軽作業・草刈り・家事代行など週2〜3日で月3〜6万円の補助収入
- 生活保護:資産・収入が最低生活費以下なら申請可能。65歳以上の単身者は申請しやすいケースも多い。市区町村の福祉事務所へ相談
- 住宅確保給付金:家賃補助制度(就労支援要件あり)
- 年金繰り下げ受給:65歳から受給せず70歳まで待つと42%増額(月20万円→28.4万円相当)。ただし当面の生活費の確保が前提
- 高年齢求職者給付金:65歳以降退職なら年金と同時受給可能
- 固定費の徹底削減(通信費・保険の見直し・賃貸から実家・公営住宅への移転検討)
- 持ち家がある場合はリバースモーゲージ(自宅担保に老後資金を借りる)の検討
- 子・兄弟への相談を含め、家族のセーフティネットを確認
- 今から就労継続することが最大の対策——健康管理が資産
- 週3〜4日のパートタイム就労:前職の経験を活かした嘱託・顧問。月10〜15万円で生活費の赤字を埋める
- 農業・家庭菜園の副業:自給自足比率を高めて食費を削減。趣味と実益を兼ねる
- ブログ・YouTubeで定年後の経験を発信:初期は収益少ないが長期で月1〜5万円の不労所得に育つ可能性
- シルバー人材センター+パート:複数の収入源で月8〜12万円の補助収入
- 500〜700万円は定期預金・個人向け国債で安全に保管(元本保証)
- 余剰の200〜300万円を新NISAの高配当株・バランスファンドで運用(利回り3〜4%目標)
- 取り崩しは毎月一定額(定率ではなく定額)で計画的に管理
- 65歳まで年金繰り下げで増額——体力があるうちに判断
- 好きな仕事・やりがい優先:NPO・ボランティア活動・地域貢献活動。収入は月3〜8万円でも精神的充足感が高い
- 前職スキルのコンサルティング・顧問:業界経験を活かして月10〜30万円。週1〜2日で高単価の仕事が可能
- 副業・フリーランス:ライター・カメラマン・デザイン・プログラミングなど趣味を仕事に
- 起業・小商い:カフェ・民泊・農家民宿など小規模な事業。人生経験を活かしたビジネス
- 完全リタイア:65歳以降は就労しない選択も十分可能
- 500〜800万円:流動性の高い普通預金・短期定期(生活防衛資金)
- 500〜700万円:個人向け国債・社債・REIT(安定利回り2〜4%)
- 残り:新NISAで高配当株・全世界株式インデックス(長期運用)
- 年金繰り下げ受給(70歳まで):月収入を42%増やせる。1,000〜2,000万円の資産があれば65〜70歳の生活費を賄いながら繰り下げ可能
- セミリタイア(サイドFIRE):好きな仕事だけを選んで月5〜15万円。資産の取り崩しを最小化
- 社会貢献・地域活動:NPO理事・公民館活動・子ども食堂など。「社会との接点」を維持
- 田舎移住・スローライフ:都市から地方移住で生活費を月5〜8万円削減。農業・DIY・自然の中での暮らし
- 海外移住・ロングステイ:東南アジア(タイ・マレーシア・ベトナム)で月15〜20万円でゆとりの生活
- 1,000万円:流動性資産(普通預金・MRF)
- 1,000万円:安定運用(個人向け国債・REIT・高配当ETF)→利回り3%で年30万円
- 1,000万円:成長運用(全世界株インデックス・新NISA)→利回り5%で年50万円
- 運用益だけで年80万円(月約6.7万円)。赤字2万円を補って余りある
- 年金繰り下げ受給(75歳まで):最大84%増額。月14万円→月25.7万円に
- 完全リタイア・趣味の追求:旅行・芸術・スポーツ・文化活動に全力投資
- 資産の次世代承継:年110万円以内の贈与税非課税枠を活用して子・孫への資産移転
- ファミリーオフィス・プライベートバンク:資産1億円以上なら専門家による資産管理を検討
- 不動産収入:区分マンション・戸建て賃貸で安定した家賃収入
- エンジェル投資・社会的インパクト投資:スタートアップ支援・社会課題解決への投資
- 相続税対策:基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人。超える資産は生前贈与・生命保険・信託を活用
- 詐欺・投資勧誘への警戒:高齢者を狙った詐欺が急増。「元本保証で高利回り」は全て詐欺と疑う
- 認知症への備え:任意後見制度・家族信託の設定を60代のうちに
60歳以降でも就ける仕事——体力・スキル・収入別
・ハローワーク:シニア向け求人コーナーを設置している拠点も
・シニアジョブ(https://senior-job.co.jp/):50歳以上専門の転職エージェント
・マイナビミドルシニア:40〜60代向け求人
・リクルートエージェント シニア版:管理職・専門職経験者向け
60歳以降のお金の最適化——絶対に知っておくべき制度
| 制度 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 年金繰り下げ受給 | 65歳以降毎月0.7%増額・最大75歳まで繰り下げ可(84%増) | 健康で就労できるなら繰り下げが有利。繰り上げは避けること |
| 在職老齢年金の注意 | 月収+年金が50万円超で年金が一部カット(2024年度) | 働きすぎると年金が減る。収入設計を年金事務所でシミュレーション |
| 新NISA(成長投資枠) | 年間240万円まで非課税投資。60歳以降でも活用可能 | 10〜15年の長期投資が前提。老後資金の増殖に活用 |
| iDeCo(60〜75歳受取) | 60歳以降も65歳まで加入継続可能(2022年改正)。受取は75歳まで | 退職所得控除を活用した節税受取を設計する |
| 高額療養費制度 | 医療費が一定額を超えると払い戻し。70歳以上は自己負担限度額が低い | 高額医療費は事前に「限度額適用認定証」を取得すると窓口負担が減る |
| 介護保険サービス | 要介護認定後、1〜3割負担でヘルパー・デイサービス・施設入所が利用可 | 65歳から第1号被保険者。早めにケアマネージャーに相談 |
| 後期高齢者医療保険 | 75歳から自動的に切り替わり。保険料・負担割合が変わる | 2022年10月〜一定収入以上は2割負担に変更 |
| 相続・贈与対策 | 年110万円以内の贈与税非課税枠。相続税基礎控除3000万円+600万円×人数 | 資産1,000万円超なら60代から計画的に対策開始を |
| 任意後見・家族信託 | 認知症に備えて資産管理を信頼できる人に委託する制度 | 判断能力があるうちに手続き必須。60〜70代での準備を推奨 |
「老後資金を増やせる」「元本保証で高利回り」「孫のために」という勧誘は全て詐欺の可能性があります。金融庁に登録のない業者・SNSで知り合った人からの投資勧誘には絶対に応じないでください。判断に迷ったら国民生活センター(0570-064-370)へ。