日本の労働法はあなたを守るために存在している。しかし、知らなければ権利は使えない。ブラック企業が横行できる理由の一つは、多くの労働者が自分の権利を知らないことにある。
原則として月45時間・年360時間が上限。特別条項を結んでも月100時間・年720時間を超えることはできない。違反した使用者には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科される。
上限を超えた残業を命じた場合、労働者は残業命令を拒否できる。また違反の申告は労働基準監督署に行うことができ、監督官が立入調査・是正勧告を行う。
年10日以上の有給が付与された労働者に対し、使用者は年5日の有給取得を義務付けられている。取得を妨害・拒否した使用者には30万円以下の罰金がある。
労働者から有給申請があった際に合理的な理由なく拒否することは違法。「繁忙期なので」という理由だけでは拒否できない。時季変更権(別の日に変更を求める権利)はあるが、代替案を提示する必要がある。
2020年に大企業、2022年から中小企業にも適用。6類型(身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係の切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害)が定義され、企業に防止措置義務が課された。
企業が防止措置を怠った場合、行政指導・勧告・企業名公表の対象となる。被害者は会社に相談窓口の設置を求めることができ、相談したことを理由とした不利益取扱いは禁止されている。
2020年4月の改正民法施行により、賃金請求権の消滅時効が2年から3年に延長された(当面の措置。将来的に5年になる可能性あり)。退職後でも最大3年分の未払い残業代を請求できる。
時効は「残業した日」ではなく「賃金支払日の翌日」から起算する。過去の残業代を計算するために、タイムカード・出退勤記録・メール等の証拠が重要。内容証明郵便で請求書を送ることで時効を中断できる。
健康保険の被保険者が病気・怪我・うつ病等で働けなくなった場合、連続4日以上の休業から給与の約2/3(標準報酬日額の2/3)を最長1年6ヶ月受給できる。
退職後も、在職中に傷病手当金の受給を開始していれば、一定条件下で継続受給が可能。申請は勤務先の健康保険組合または協会けんぽに行う。待機期間3日間(有給・休日含む)の後から支給対象。
個別労働紛争(残業代未払い・不当解雇・ハラスメント等)を、原則として3回以内の期日で解決する裁判外紛争解決手続き。通常訴訟より迅速・低コストで利用できる。
申立人費用:申立手数料のみ(紛争金額によるが多くは数千円〜1万円台)。弁護士なしでも申立可能だが、弁護士の活用が望ましい。法テラスの費用立替制度(収入要件あり・分割払い可)も利用できる。
残業代単価(時間単価)= 基本給 ÷ 月所定労働時間
残業代(1時間分)= 時間単価 × 割増率(法定残業は1.25倍、深夜は1.5倍、休日は1.35倍)